いいとこ茨城
~茨城県真壁郡大和村楽法寺参道千勝神社境内~
あまびき美術館館長藤田久男さんは、四十歳を前にして突然、それまでやってきた農業をやめた。
丹精をこめたビニールハウスも手放してしまった。
画商に転身したのである。
若い時から興味を持っていた画への道をどうしても忘れられなかったのである。
画商がどんな仕事であるか、農業しか知らなかった藤田さんにとって、それからの日々は苦悩の連続であった。
その辛い商売のある日、木村武山の描いた「聖観音」に出会った。
藤田さんは語る。
「一瞬の鮮烈な衝撃に次いで、私を包んだあの神秘な香気に私は酔いました。すべての心悩は消滅して平安そのものの心境でした。久々に得たこの安らぎの中で、観音さまが、私に手を差し伸べて下さったのだ。どこかにしまわれておいでの観音さまに光を当て世に出ていただくことが私の一生の仕事だ……」と。